展覧会用の掛軸

表装の種類

展覧会用の掛軸 〜現代機械表装〜

現代機械表装

展覧会用の掛軸は、短期間にいかに魅力的な掛軸に仕上げるかを重視しています。
いちばんの特徴は「魅せる掛軸」です。
お客様の大切な作品を魅力的に引き立たせ、よりよく「魅せる」ことができる演出を考えて、製作致します。
併せてお仕立て価格も低価格でお手頃な事も大切なポイントです。そのため、伝統的な掛軸とは別の製法“現代機械表装”を用いて作られます。
特徴は、短納期低価格であることで、お気軽に表装していただけるものです。

伝統的な掛軸 〜伝統表装〜

伝統表装

納期やご予算があれば伝統的な技法に基づいた“伝統表装”をおススメします。一級表装技能士が時間と手間をかけ、専用の道具(刷毛や糊)を用いて丹精込めて仕上げていきます。
また、「すでに掛軸になっている古くて傷んだ掛軸を表装し直すことはできますか?」とよくご質問がありますが、もちろん可能です。
作品の損傷具合にもよりますが、ほとんどの掛軸は表装し直すことができます。
この場合、展覧会用の掛軸の製法とは違い、糊で裏打ちを施す伝統的な製法で製作いたします。
すべてが手作業になりますので、納期やご予算は現代機械表装より少々掛かります。

表装のお直しの専門サイト 掛軸屋.net

製法の流れ

製法の流れ

掛軸の種類

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  • 丸表装(まるひょうそう)
    最も基本的な表装です。
    中国から伝来した表装で「文人表装」 とも呼ばれ、あらゆる作品に合う表装です。
  • 明朝表装(みんちょうひょうそう)
    丸表装の脇に細い帯があるのが特徴です。
    古くは南画山水によく用いられていましたが、現在は様々な作品に用いられます。
  • 三段表装(さんだんひょうそう)
    展覧会で人気の表装です。
    三段表装風帯付から風帯を取り除いたもの。伝統的な表装の一つです。
  • 三段表装風帯付(さんだんひょうそうふうたいつき)
    日本独自の表装です。
    「大和表装」とも呼ばれる格調高い表装です。
  • デザイン(創作)表装
    現代的な表装の代表です。展覧会でひときわ華やかに見えます。洋間向き、洋風仕上げになります。
    ご案内できますデザインのパターンは300種類以上あります。
  • 仏表装(ぶつひょうそう)
    名号(南無阿弥陀佛など)、仏画に合う表装です。

オプション

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  • 筋廻し(すじまわし)
    作品の周りに1ミリ程の筋を廻し、作品をより際立たせます。
  • 一文字廻し(いちもんじまわし)
    作品脇に一文字の布を幅3ミリ程付け、より格調高いお仕立てにします。
  • 台貼り
    扇面作品や短冊、寸松庵等の小作品をお仕立てする場合によく利用されます。
  • 連軸(れんじく)
    半切タテ1/2作品等の2枚の作品を並べて1幅の掛軸にします。
    対の作品を格調高く仕上げます。
  • 風帯(ふうたい)各種
    ・垂れ風帯(たれふうたい)…最も代表的な風帯。
    ・貼り風帯(はりふうたい)
    ・二本筋風帯(にほんすじふうたい)
    ・四本筋風帯(よんほんすじふうたい)
     ※三段表装または仏表装対象です。

実績

釈文と意味は、ご依頼主様よりご提供いただきました。

貴船どんすクラス 丸表装 Aコース 10,000円(税別)

作品

有志者事意成(志有る者は 事意に成る)

意味

強い意志で物事を進めるなら途中でたくさんの困難があっても、最後には目的を達成できる。

お仕立て

今回はお急ぎ・お任せのAコースをお選びいただきました。一行書の力強い作品でしたので、シンプルなお仕立てに濃いめの布を選びました。作品をお預かりしてから3日間で完成させました。


正絹(並)どんすクラス 筋明朝・筋廻し Bコース 25,000円(税別)

作品

人はいさ 心も知らず ふるさとは
 花ぞ昔の 香(か)ににほひける 紀貫之(35番)

意味

さてどうでしょうか。人の心は分からないけれど、慣れ親しんだこの里では、梅の花だけが依然と同じいい香りをただよわせていますよ。

お仕立て

Bコースのこだわり・相談コースをご指定いただきました。
作品の「花」は梅の花の意味でしたので、赤か白の色合いを入れようと思いましたが、グリーン系の綺麗な料紙でしたので、全体的に白っぽい淡いグリーン系の布にしました。筋や軸先などアクセントに同色系のグリーンでまとめてみました。


伝統手表装 正絹(並)どんすクラス 三段表装垂れ風帯付き Cコース 48,000円(税別)

作品

福如雲

意味

幸運が雲の湧き出るように盛んな事

お仕立て

贈答用にされるため、本格・伝統コースのCコースにされました。
お知り合いがご自宅を建てられ、本格的な床の間の一幅(いっぷく)にされるとの事で、しっかり時間をかけてお仕立てしました。
伝統的な配色をシックにまとめてみました。布の紋様は「雲柄」を選び、流れるような雰囲気を醸し出しています。完成までに、二ケ月要しました。収納は桐箱入りです。


伝統手表装 正絹(並)どんすクラス 筋割三段 Cコース 44,000円(税別)

作品

歯を痛み泣けば背負ひて我母は
 峡(かい)の小川に魚をつりにき 牧水

意味

幼少の頃、牧水はむし歯が多くよく痛みました。痛みにおいおい泣ていると母は一緒に涙を流しました。また時には泣く牧水を背負って、川に魚釣りに行って牧水に話しかけては、痛みをやわらげようともしました。

お仕立て

継ぎ料紙の作品です。母の愛情が伝わる幼い頃の思い出。
自然を愛する牧水をイメージして、また継ぎ料紙のグレーとグリーンの色合いを活かして、柔らかい印象の色合わせにしました。
本格・伝統コースの手表装仕上げ、桐箱入りになります。


正絹(並)どんすクラス デザイン(創作)表装・筋廻し Bコース 30,000円(税別)

作品

行雲流水

意味

空行く雲や流れる水のように、一事に執着せず、自然に任せて行動する事

お仕立て

洋間、リビングにも合うお仕立てをご希望され、色々とご相談いただきました。作品は自由に行動するという内容でしたので、コバルトブルーの原色系に赤の筋廻しを合わせ、「英字新聞」の切り抜きをはめ込んだデザイン・創作表装にお仕立てしました。
マンションや廊下に掛けても違和感なく、和のテイストを残しながら斬新にアレンジ。作品上下にはサメと仏像が映っています。


正絹(並)どんすクラス デザイン(創作)表装 Bコース 30,000円(税別)

作品

青笹を入れやりたれば池の鮒
 早青き葉の陰に来てをる 牧水

意味

歌集「黒松」からの一節です。牧水没後10年の昭和13年(1938年)に出版された「黒松」には「池の鮒」が9首が収められています。

お仕立て

茶系の全懐紙作品を現代風にお仕立てしました。アイボリーと茶色の配色はインテリアにはベーシックな配色で、自然の素材によく用いられます。家庭的な落ち着いた懐かしい印象を持たせながらグラデーションのある布を両サイドに使って、リビングや洋間にも飾れるようにしました。
シルバーの筋廻しがアクセントになっています。デザイン(創作)表装です。